転勤したくないのに、転勤の打診をされたときは正直ショックです。
転勤の打診ならまだしも、転勤の内示・辞令が出されたときは、断ることが非常に難しいです。
このような転勤辞令・内示・打診は、断れないものなのでしょうか。
もし断れないときは、どう対処すればいいのでしょうか。見ていきましょう。
転勤辞令・内示・内々示・打診は断れないのか?
辞令は断ることができない
転勤辞令などの、異動辞令は基本的に断ることができません。
辞令は業務命令なので、拒否することはできないのですね。
例えば辞令には、転勤だけでなく「昇格」や「降格」の辞令もあります。
「降格」の辞令を、「いやだ降格したくない!」と断ることはできないですよね。
それと同じように、転勤辞令も正当な理由がなければ、断ることができないものとなっています。
もしどうしても転勤したくないならば、辞令を拒否して会社を辞めるしかないということです。
辞令を拒否するということは、何らかの懲戒処分は覚悟しなければいけません。
会社によっては懲戒解雇(クビ)にまでならないかもしれませんが、重い処分が下されるでしょう。
もちろん、懲戒解雇されても文句は言えないのですね。
内示も基本的には断れない
転勤辞令が出る前に、転勤の内示が通達されることがあります。
おおよそ2週間~1ヶ月前ぐらいに、内示されることが多いでしょうか。
内示は、その名の通りに「内々に示す」ということです。
ではこの「内示」なら断ってもいいのでしょうか。
残念ながら、内示も正当な理由がなければ断ることができません。
転勤の内示が出たら、従わざるを得ないということです。
内示が出るということは、辞令が出ることがほぼ確定しているということです。
内示は辞令を内々に伝えているだけなので、効力的には辞令と同じものなのですね。
このように、転勤したくないのに転勤の内示が出た場合は、正当な理由がなければ基本的には断ることができないです。
内々示は断ることができる可能性も
まれに、転勤の内々示を上司などから通達されることがあります。
「今度、君に転勤の内示が出るよ」と上司などから伝えられるのですね。
内々示は、まだ正式に内示・辞令が出る前に、親心から伝えてくれる性質のものと考えればいいでしょう。
転勤の内々示をされるということは、ほぼ転勤が本決まりということです。
どうしても転勤したくないというときは、上司に精いっぱい自分が転勤したくないということを伝える必要があります。
もちろんそれで転勤がなくなるというわけではありません。
ほぼ決まっているのですから、そのまま転勤の内示⇒辞令となるケースがほとんどでしょう。
ただ内々示の時点では、まだ転勤を断ることができる可能性は、わずかですが残されています。
正式な内示が下される前に、上司にどうしても転勤したくないことを訴えるといいのかもしれません。
打診は断ることができる可能性も
転勤の打診をされることもありますよね。
例えば上司から「今度、福岡支社に行ってみる気はないかい?」などと打診されるケースですね。
打診はまだ正式な決定というわけではなく、上司から探りを入れられている段階といっていいでしょう。
上司がどのような反応を示すのかを見ているのですね。
もしこのような転勤の打診をされたとき、転勤したくないのなら断るべきです。
もちろん人事評価的なポイントは下がるのかもしれません。
しかし絶対に転勤したくないのなら、断っておかないと「内示」⇒「辞令」と進んでいく可能性が高いです。
内示・辞令が下されると、正当な理由がなければ断ることができません。
打診の段階ならまだ断るチャンスがありますので、はっきりと意思表示をしましょう。
転勤辞令・内示を断れることもある
転勤辞令や転勤の内示は、正当な理由がなければ断ることができません。
業務命令ですからね。
しかし逆に言うと、正当な理由があれば断れるということです。
転勤辞令・転勤の内示を断ることができる、正当な理由とはどのようなものなのでしょうか。
やむを得ない事情があるとき
もし「やむを得ない事情があるとき」は、転勤辞令・内示を断ることも可能です。
例えば、
「親の介護で自分以外は面倒を見ることができない」
「子供が病気で現住所を離れることができない」
など、どうしても遠隔地に転勤できない事情があるときは、断ることも可能です。
ただこの「やむを得ない事情」は、会社側にそれを認めるかどうかの裁量があります。
会社側が認めてくれないこともあり得るということですね。
断ることのできる可能性もあるけれど、100%断ることができるわけではない、ということを覚えておきましょう。
勤務地を限定した雇用契約だった時
入社時に、「勤務地を限定した雇用契約」を結んでいたときは、転勤辞令・転勤の内示を断ることができます。
これは会社と労働者の契約ですので、断っても何の問題もありません。
いわゆる「契約違反」になるのですね。
もしこのような契約を結んでいるのにもかかわらず、転勤辞令・内示をしてきたときは、断ってしまいましょう。
断ったことで不利益を受けたら、会社に損害賠償などを請求することも可能です。
まあ通常「勤務地を限定した雇用契約」を結んでいたら、転勤辞令・内示を出すことはありませんけどね。
どうしても転勤したくないときはどうすればいい?
「やむを得ない事情」もなく「勤務地を限定した雇用契約」も結んでいないとき、転勤辞令・内示をされたらどうすればいいでしょうか。
それでも転勤したくないときは、基本的には会社を辞めるしかないでしょう。
先に述べたように、正当な理由がなく「辞令」「内示」を断ることはできません。
断れば懲戒処分が下されて、最悪の場合は懲戒解雇となります。
クビになるか、自分で辞めるかのどちらかなのですね。
懲戒解雇になると、転職・再就職に支障をきたしてしまいます。
それならば、自主退職をしたほうがいいのかもしれません。
「辞令を断れば懲戒解雇だ」と命令されたときは、辞令に従うか、自主退職するかどちらかを選ぶということです。
一度辞令に従って転職活動をするという方法もある
どうしても転勤したくないときは、まず一度辞令や内示に従うという方法もあります。
辞令や内示に従って、まずは転職活動を始めてしまうのですね。
いきなり会社を辞めてしまうことはおすすめできない
転勤したくないからといって、いきなり会社を辞めてしまうことはおすすめできません。
いきなり会社を辞めてしまうと、当然ですが無職になってしまいますよね。
無職になってしまうことは、おすすめできないです。
無職の状態で転職活動をすると、どうしても焦りが出てきます。
転職活動は、働きながらすることが望ましいです。
働きながら転職活動をすると、収入もあるので焦りが生じることはなくなりますからね。
ですので、いきなり会社を辞めてしまうことは、できるだけ避けましょう。
転職の内示をもらったら転職活動を始める
多くの場合、いきなり転職の辞令が出るわけではなく、まず内示が出ます。
絶対に転勤したくないときは、転職の内示が出たら、転職活動を始めてしまいましょう。
できるだけ早く転職活動を始めれば、それだけ早く転職先から内定をもらえますからね。
働きながら転職活動をすることは違法ではない
働きながら在職中に転職活動をすることは、違法ではありません。
実際に多くの転職成功者が、在職中に転職活動をして内定を獲得しています。
会社を辞めてから転職活動をするより、在職中に転職活動をするほうが絶対に効率的です。
会社を辞めたいと感じたら、まずは転職活動を始めましょう。
転勤後も転職活動を続ければいい
転職活動を始めてから内定を獲得するまで、3か月~6か月程度の期間を見ておくといいでしょう。
もちろん早い場合は、1ヶ月~2か月程度で内定を獲得できることもあります。
ただ、あまり早く決まりすぎるのも、いいことばかりではありません。
ある程度じっくりと腰を据えて、転職活動をするほうが望ましいですからね。
3か月~6か月程度の期間が必要ならば、いったん転勤の辞令を受け入れて、実際に転勤をする必要があります。
これは仕方がありませんね。
転職をする覚悟があるのなら、長期出張ぐらいの気持ちで、転勤を受け入れましょう。
転勤後に、転職活動を続ければいいのですからね。
転勤後も転職活動はできます
転勤をしても転職活動を続けることは可能です。
もちろん面接のために、長距離の移動が必要になるケースはあるでしょう。
しかし面接日を調整して、一度の移動で複数の転職希望先の企業の面接を受けることも可能です。
有給休暇などを有効に利用して、面接の日程調整をうまくしたいですね。
転職エージェントを活用しましょう
転職エージェントを活用すると、遠隔地での転職活動もスムーズに進めることが可能です。
転職エージェントは、面接の日程調整などの手続きを代行してくれます。
またいろいろな相談に乗ってくれたり、非公開求人を紹介してくれたりと、非常に役に立ちます。
特に遠隔地で転職活動をしなければいけないときは、非常に頼りになるものです。
ぜひ、転職エージェントを上手に活用して、遠隔地での転職活動を成功させましょう。