「公務員が懲戒免職されたら、その後の人生は再就職もできないので悲惨だ」とよく聞きます。
民間企業の懲戒解雇の場合は、世間一般に解雇されたことが知られることはありません。
しかし公務員が懲戒免職されると、「懲戒処分の公表指針」に基づき原則公開となります。
世間一般に、原則として名前が公表されてしまうのですね。
では本当に、公務員が懲戒免職されたら、その後に再就職できないのでしょうか。
公務員が懲戒免職されたら再就職できないのか
懲戒免職された公務員でも再就職・転職を成功させる方法
- とにかくあきらめずに再就職活動を続ける
- 知り合いの会社に再就職をさせてもらう
- 何とか諭旨免職で公務員を辞める
公務員が免職する or 免職される懲戒処分には、「懲戒免職」「諭旨免職」「分限免職」があります。
簡単に説明すると、
「懲戒免職」・・・不正等をして強制的に免職
「諭旨免職」・・・自分から免職(実際は半強制)
「分限免職」・・・資質がないので強制的に免職
という理由で免職する or 免職されるのですね。
この中でも特に懲戒免職は、何らかの不正・不祥事をしたことを理由に、強制的に公務員を辞めさせられる処分になります。
公務員が懲戒免職されたら再就職できないとよく言われますが、そんなことはありません。
もちろん一般の再就職・転職と比較すると難しいですが、がんばればなんとかなります。
ではどうすれば、懲戒免職された公務員の方でも、再就職・転職を成功させることができるのでしょうか。
とにかくあきらめずに再就職活動を続ける
不合格でもあきらめない気持ちが大事
ちょっと精神論のようになってしまいますが、あきらめてしまうと再就職はできません。
一般の再就職・転職のケースでも、期間にすると3か月~6か月程度、面接の数にすると5回~10回程度必要となることは、ざらにあります。
再就職・転職を成功させるには、何度不合格となってもあきらめない気持ちが大切です。
確かに懲戒免職になると、再就職・転職には不利になることは否めません。
とにかくあきらめずに、何度でも応募・面接を繰り返しましょう。
では応募・面接をするとき、懲戒処分である不利な状況をどのようにして乗り切ればいいでしょうか。
履歴書に懲戒免職は記載する必要がある?
懲戒免職で公務員を辞めた時、再就職をするときの履歴書に懲戒免職されたことを、記載しなければいけないのでしょうか。
ウソの経歴を履歴書に記載すると、それは経歴詐称になってしまいます。
懲戒免職なのに「退職(一身上の都合)」と記載すると、これは嘘の経歴なので再就職先にばれると、また懲戒処分を受ける可能性があります。
ですので、「一身上の都合」はよくないですね。
そんな時は、「退職」とだけ記載しておきましょう。
これなら嘘ではありませんからね。
しかし履歴書はこれでよくても、面接で前職の退職理由を質問されたときは、どう乗り切ればいいのでしょうか。
嘘をつくと再就職後に懲戒処分になる可能性がある
面接で前職の退職理由を質問されたときは、正直に話すしかないです。
もちろん嘘をついて、その場しのぎで乗り切るという方法もあります。
ただ先ほどもお話ししたように、履歴書や面接で嘘をつくと経歴詐称となり、再就職をしても懲戒処分(最悪クビ)になる可能性があります。
一番いい方法は、「懲戒免職で公務員を辞めたけれど、再就職できたらがんばる」という気持ちを面接でアピールすることでしょう。
懲戒免職は、現実的になかなか再就職が難しくなりますが、すべてを正直に話したうえで再就職できたケースももちろんあります。
嘘をつくという方法もあるにはありますが、やはり正直に話すことがベストの方法になるでしょう。
嘘をつくとばれる?
ではもし面接で嘘をついたときは、ばれるものなのでしょうか。
一般の民間会社で懲戒解雇されたときは、嘘をついてもばれないことのほうが多いでしょう。
しかし公務員の場合は、懲戒免職されると、「懲戒処分の公表指針」に基づき原則公開されます。
名前が公開されるのですね。
再就職先の会社が調査すると、ばれてしまう可能性が高いということです。
また、公務員を辞めて民間の企業に再就職をする人は、一般的にあまりいないですよね。
面接の採用担当者は、前職が公務員だった場合、なぜやめたのかを知りたいと考えるはずです。
もっと言えば、「何か問題を起こして公務員を辞めたのではないか」と考える可能性が高いということです。
相手が警戒心を抱いているので、こちらの嘘もばれやすいのですね。
ならばやはり、正直に話したほうが得策なのかもしれません。
すべての会社が、懲戒免職された元公務員を不採用とするわけではありませんからね。
とにかく、粘り強く応募・面接を繰り返しましょう。
また公務員になることもできるの?
実は公務員を懲戒免職になっても、また公務員になることは可能です。
地方公務員法第16条の欠格条項には、
「3 当該地方公共団体において懲戒免職の処分を受け、当該処分の日から2年を経過しない者」
と記載されています。
懲戒免職をされると、2年間は当該地方公共団体で地方公務員として働けないのですね。
国家公務員も同じで、2年間は国家公務員として働けません。
しかしながらこれは、
「2年以上経過した。」
「別の地方公共団体で働く」
ならば欠格条項に該当しないということになります。
以上のように、公務員が懲戒免職となっても、また公務員として働くことは不可能ではありません。
現実的にはなかなか難しいですが、法律上は無理ではないのですね。
面接で退職理由を質問されなかったら?
もし再就職の面接で、前職の退職理由を質問されなかったら、もちろんこちらから懲戒免職されたことを話す必要はありません。
面接で聞かれてもいないのに、こちらに不利なことを話す必要はないのですね。
この場合、嘘をついたわけではありません。
ですので、再就職をした後も懲戒処分をされる理由はありません。
堂々と再就職先で、一所懸命に働いてください。
知り合いの会社に再就職をさせてもらう
公務員を懲戒免職されたときは、知り合いのつてを頼って再就職するという方法もあります。
通常の再就職活動では、なかなか内定をもらえないというケースも多いです。
しかし懲戒免職を知ったうえでも、知り合いの会社ならば雇ってくれる可能性はあります。
懲戒免職の理由にもよりますが、本人とその知り合いに信頼関係があれば、再就職させてもらうことも十分可能です。
もちろん再就職後は、他の社員よりもより一所懸命働く必要があるでしょう。
なかなか通常の再就職活動では内定がもらえないときは、自分の人脈・家族の人脈・知り合いの人脈などを頼ってみてはいかがでしょうか。
何とか諭旨免職で公務員を辞める
懲戒免職と諭旨免職では大きな違いがあります。
懲戒免職はいわゆるクビですが、諭旨免職は名目上は自己都合退職ということになりますからね。
本来は諭旨免職も半強制的な免職なのですが、履歴書上では大きな違いがあるのですね。
名目上でも自己都合退職なら、履歴書に「退職(一身上の都合)」と記載してもウソではありません。
嘘をつかずに「一身上の都合」と記載できるのは大きいです。
諭旨免職にしてもらえないか交渉する
懲戒免職になりそうな場合、何とかして諭旨免職にならないか交渉してみることも必要になります。
もちろん犯罪行為ほどの不正をしたときは、懲戒免職で公務員を辞めざるを得ないでしょう。
しかし懲戒免職にすべきかどうか、微妙なときがありますよね。
そんな時は、反省を示して何とか諭旨免職で辞める方向にならないか努力しましょう。
諭旨免職なら、減額されるでしょうが退職金ももらえます。
できる限りがんばって諭旨免職になる努力をしてください。
今は再就職のチャンスです。
以上のように、まずは懲戒免職ではなく諭旨免職で辞めることができないかをまず努力しましょう。
もし懲戒免職になっても、絶対に再就職できないというわけでは、もちろんありません。
今は人手不足で、多くの会社が働き手を探しています。
再就職するにはチャンスの時期です。
がんばれば、再就職することも十分に可能です。
とにかくあきらめずに、粘り強く再就職活動をしてくださいね。