「月給25万円(月40時間分のみなし残業代5万円を含む)」

このような求人募集を見かけたことはありませんか。

みなし残業代は、実際に残業したかどうかは関係なく、あらかじめ月給の中に一定時間分の残業代が含まれている制度のことです。

このみなし残業がある求人で転職することは、デメリットが多いので注意が必要です。

みなし残業がある求人での転職はデメリットが多いので注意が必要

転職活動をするときに、みなし残業を求人募集で見かけたら、ブラック企業の可能性があるので注意が必要です。

私たち労働者にとって、みなし残業にはどのようなメリットとデメリットがあるのでしょうか。

  • みなし残業のメリット
  • 毎月一定の残業代がもらえる

  • みなし残業のデメリット
  • サービス残業を強いられることも

 

「みなし残業」は、固定残業制度とも呼ばれています。

毎月の給料に、20時間・40時間・45時間といった残業代が、あらかじめ固定して含まれているのですね。

正直なところ、私たち労働者側にとってみなし残業のメリットはあまりありません。

しかし企業側から見てみると、みなし残業はたくさんのメリットがあるのです。

みなし残業のメリット

みなし残業のメリットを、労働者側と企業側の両方の視点から見てみましょう。

労働者側のメリット

私たち労働者側からすると、みなし残業のメリットはほとんどありません。

あるとすれば、毎月一定の残業代がもらえるということぐらいでしょうか。

例えば、月40時間のみなし残業代5万円と決められていたら、毎月5万円の残業代はもらえますよね。

このみなし残業代は、残業をしてもしなくても必ずもらえます。

もし実際は残業をしていないのに、残業代がもらえたらラッキーですよね。

現実は甘くない

しかし現実は甘くありません。

月20時間しか残業をしないのに、月40時間分のみなし残業代を労働者に支払うなら、企業側にとって何もメリットはありませんよね。

しいていえば、残業代の計算をしなくて済むということぐらいでしょうか。

もしあなたが経営者ならば、こんな企業にメリットのない制度を導入しないでしょう。

ではなぜ企業側は、このみなし残業(固定残業制度)を導入するのでしょうか。

企業側のメリット

それはみなし残業を導入することが、企業にとってメリットがあるからです。

もっとわかりやすく言うと、企業が儲けることができるからです。

給料を高く見せることができる

「基本給18万円」「基本給23万円(みなし残業代を含む)」

上記の求人票を見て、どちらのほうがいい求人に感じますか。

後者の「基本給23万円(みなし残業代を含む)」のほうが、給料が高く感じますよね。

みなし残業は、見た目の給与額を高く表示することができるため、好条件の求人に見えてしまいます。

この見た目の好条件に騙されないようにしなければいけません。

みなし残業を明示しなければならない

2018年1月からは、職業安定法改正によって求人票での「みなし残業」の表示が厳しなりました。

  • みなし残業代を除く基本給
  • 時間と金額を明記したみなし残業代の内訳
  • みなし残業時間を超えた時間外労働の割増賃金を追加で支給する旨

上記の3点を、求人票で明記しなければいけないようになったのですね。

具体的には、

月給25万円
固定残業手当含む(残業代40時間分)/5万円~
※残業40h超過分は別途支給

などと記載する必要があるということです。

もし求人票でみなし残業についてあいまいに説明していたら、何かを隠そうとしているので注意が必要です。

騙されないように、よく観察する必要がありますね。

サービス残業をさせやすくなる

みなし残業を導入すると、みなし残業の時間とその他の残業の時間をあいまいにすることができます。

残業代を支払わない「サービス残業」をさせやすくなるのですね。

本来なら、みなし残業時間を超えた残業には、もちろん残業代を支払わなければいけません。

しかしみなし残業時間を設定しておくと、その境界線があいまいになってしまうのですね。

また従業員の無知に付け込んで、

「うちはみなし残業代で既に支払っているから」

などと言って、超過分の残業代を支払わないブラック企業もあります。

みなし残業制度を導入しているからといって、労働時間も記録していないような会社は、間違いなくブラック企業です。

みなし残業時間を超えた残業代は、もらえる権利があるので、しっかりと覚えておきましょう。

みなし残業のデメリット

上で述べた、企業側のメリットが労働者側から見たデメリットになってしまいます。

  • 基本給を安く抑えられる
  • みなし残業超過分の残業代が支払われない

ということですね。

サービス残業をさせられている可能性

みなし残業制度の会社で働いている方は、みなし残業時間を超えた残業の手当てを、きちんと支払ってもらっているか確認する必要があります。

例えば月20時間のみなし残業時間が設定されていたら、それを超えた残業には別途残業代を支払ってもらわなければいけません。

もしタイムカードをきちんと押していないなら、この超過分はサービス残業になってしまっている可能性が高いです。

会社としては、サービス残業をさせることで儲けを出すことができます。

本来は従業員に支払うお金を、会社の利益にすることができるのですからね。

実際に、みなし残業時間超過分の残業代を支払わずに、それをサービス残業にしているブラック企業はとても多いです。

転職の際には、求人募集でみなし残業代が設定されていたら、ブラック企業の可能性も考えなければいけません。

もちろんすべてがブラック企業ではないですが、注意する必要はあると言えるでしょう。

みなし残業で注意するポイント

転職活動をするとき、求人票に記載されている「みなし残業」はよくチェックしなければいけません。

みなし残業で注意しなければいけないポイントをまとめてみましょう。

みなし残業の注意点

  • みなし労働時間制が対象となる職種であるか
  • みなし残業代の金額や時間が明記されているか
  • みなし残業時間が「月45時間」を超えていないか
  • みなし残業代が最低賃金を下回っていないか

みなし労働時間制が対象となる職種であるか

みなし残業は、どんな職種でも導入していいわけではありません。

みなし残業は、「事業場外労働」と「裁量労働」の二つの場合に対象となります。

「事業場外労働」は、外回りの営業などが該当します。

「裁量労働」は、研究職、システムエンジニア、デザイナー、建築士などが該当します。

実際の労働時間を把握することが難しい職種に、みなし残業は適用されるのですね。

どんな職種でも、みなし残業を導入していいわけではないということを覚えておきましょう。

みなし残業代の金額や時間が明記されているか

先に述べたように、みなし残業では「時間」と「金額」を明記する必要があります。

「月40時間・5万円」などと、時間と金額の明記が必要です。

これを曖昧にしていると、サービス残業をさせられる危険性があるので注意しましょう。

例えば、「基本給25万円に40時間分の残業代を含む」だけだと、金額の明示がないですよね。

しっかりと時間と金額の両方を明示していることを、求人では確認してください。

みなし残業時間が「月45時間」を超えていないか

みなし残業時間については、裁判所で判断が下されています。

マーケティングインフォメーションコミュニティ事件(東京高裁平成26年11月26日判決)で、「月45時間を超えるみなし残業代の制度は無効」と判断されました。

45時間以上のみなし残業は、無効になる可能性が高いです。

月60時間のみなし残業時間を設定しているブラック企業がありますが、60時間-45時間=15時間は別途残業代を支払わなければならないということです。

45時間以上のみなし残業を無効とした判例があることを、覚えておきましょう。

みなし残業代が最低賃金を下回っていないか

このみなし残業代が、各都道府県で定められた最低賃金を下回っていないかも、注意しなければなりません。

基本給にみなし残業代を含めている場合、時間当たりの賃金がその都道府県の最低賃金を下回っていることがあります。

例えば「基本給18万円(みなし残業代40時間5万円含む)」となっている場合、正確には「基本給13万円+残業代5万円」ということですよね。

もしこれで週休1日、月25日、1日10時間働いているとすると、1ヶ月で250時間働いていることになります。

18万円÷250時間=720円なので、時給は720円ということです。

例えば平成29年の東京の最低賃金は958円ですので、大きく下回っています。(最低の都道府県でも737円です)

このようにみなし残業代を曖昧に設定すると、最低賃金を下回るケースも出てきます。

ブラック企業に最低賃金以下で働かされないように、注意をしましょう。

みなし残業を設定している求人はリスクが大きいことを理解しましょう

みなし残業代=ブラック企業というわけではありませんが、リスクが大きいことは理解する必要があります。

求人票に「みなし残業」の文字があったなら、警戒しなければいけません。

ハローワークはブラック企業が多い

特にハローワークの求人は、ブラック企業の求人がかなり混じっています。

転職するときは、ハローワークではなく転職サイトを利用したほうが、リスクは低くなりますね。

ハローワークは無料で求人募集ができるので、ブラック企業がたくさん利用しています。

転職サイトは民間企業なので、ブラック企業を排除する努力を常にしているので、リスクが低くなるのです。

転職をするなら、ハローワークよりも転職サイトのほうが、おすすめできるということです。

転職活動をするときは、まず転職サイトを利用してください。

スマホで簡単に利用できるので、とても便利です。

もちろん登録も無料なので、転職サイトを有効に活用して、転職を成功させてくださいね。

「本ページはプロモーションが含まれています」