裁量労働制のデータがねつ造されていたのではないかと、国会で問題になっています。

安倍晋三政権が目玉政策に位置づける働き方改革関連法案をめぐり裁量労働制に関する厚生労働省のデータに不備があったことを受け、19日の衆院予算委員会は終日混乱した。

一般の労働者の残業時間と、裁量労働制で働く労働者の残業時間の比較データを、ねつ造したと疑惑を持たれています。

具体的にどのようなねつ造だったのかというと、

  • 一般労働者への質問
  • 1日の残業時間について「1カ月のうちの最長時間」を質問したもの

  • 裁量労働制で働く人への質問
  • 1日の残業時間について「単純に1日の労働時間の状況」を質問したもの

 

前提条件が全く違うものを比較していたのですね。

安倍首相は、働き方改革で裁量労働制の適用範囲をさらに広げていきたいようです。

しかし裁量労働制の現状を見てみると、正直なところ労働者にとってはありがたくない話ですよね。

裁量労働制は悪用されている

本来の裁量労働制は、労働者が自由な働き方をするために導入された制度です。

労働時間や仕事の進め方が、労働者個人の裁量に委ねられている労働制度になっています。

例えば「1日の労働時間を8時間とみなす」という契約をしていたら、出社時刻・退社時刻に縛られることなく、決められた8時間分の労働をすればいいのですね。

一見すると労働者にとって、自由な働き方ができる制度のように思われます。

確かに本来の趣旨は、このような労働者の自由度を高める制度です。

しかし実際は、労働者をより安い賃金で働かせるための制度として、悪用されてしまっているのが現状です。

裁量労働制の悪用方法

それでは裁量労働制は、企業にどのように悪用されているのでしょうか。

残業代なしで働かされる

裁量労働制は、実際の労働時間というものを考えなくてもいい制度です。

簡単に言えば、

「はいこれが決められた8時間分の仕事だから、がんばって」

と丸投げされるようなものです。

仕事量が多すぎる

ブラック企業では、とても所定の時間では終えることのできないような仕事量を、裁量労働制の労働者に課してきます。

例えば、8時間のみなし労働時間なのに、12時間分の仕事量を課してくるのですね。

こうなると、実質4時間分の残業代を支払うことなく、働かせることができてしまいます。

ブラック企業にとって、裁量労働制はとても都合のいい制度なのです。

本来は労使交渉で、みなし労働時間や仕事量は決められます。

しかしブラック企業では、そんなことはお構いなしに裁量労働制を悪用してくるのです。

裁量労働制のSEは注意が必要

システムエンジニア(SE)は、裁量労働制で働いている方も多いです。

裁量労働制でSEを雇用しようとする会社は、ブラック企業の可能性がありますので注意しましょう。

そもそも話になりますが、すべての「SE」に「裁量労働制」が使えるわけではありません。

業務に関する裁量性がないと、SEを裁量労働制で働かせることは違法です。

もし今現在、裁量労働制のSEとして働いている方は、そもそも違反ではないか考えてみてください。

違反をしているなら、会社にいいように使われているだけといってもいいでしょう。

そんな時は、別の会社に転職することをおすすめします。

今はSEが人手不足で、多くの会社がSEを採用したいと考えています。

自分をしっかりと評価してくれる会社で、搾取されることなく働きましょう。

裁量労働制は職種が限られる

裁量労働制は、この制度を利用できる職種が限られています。

1・専門業務型裁量労働制

2.企画業務型裁量労働制

 
のどちらかに、当てはまらなければいけないのですね。

しかしブラック企業では、これらの職種に該当しない場合でも、裁量労働制を適用することがあります。

専門業務型裁量労働制とは

専門業務型裁量労働制は、下記の19業種に限られています。

1. 新技術の研究開発等
2. 情報処理システムの分析・設計
3. 新聞・出版・テレビ等の取材・編集
4. デザイナー
5. プロデューサー・ディレクター
6. コピーライター
7. システムコンサルタント
8. インテリアコーディネーター
9. ゲーム用ソフトウエア開発
10. 証券アナリスト
11. 金融工学等の知識を用いて行う金融商品の開発
12. 大学における教授研究
13. 公認会計士
14. 弁護士
15. 建築士
16. 不動産鑑定士
17. 弁理士
18. 税理士
19. 中小企業診断士

 
この19業種に限り、裁量労働制は認められているのですね。

専門業務型裁量労働制の悪用方法

ブラック企業では、専門業務型裁量労働制を悪用してきます。

これらに該当しない職種でも、裁量労働制のを適用してくるのですね。

例えばプログラマーに裁量労働制を適用することは違法とされています。

またSEでも、業務に関する裁量性が低ければ、実質的には違法となります。

裁量なき裁量労働制は、ブラック企業が残業代を支払うことなく労働者を働かせるためのツールになってしまっているのですね。

企画業務型裁量労働制とは

企画業務型裁量労働制は、企業の中枢部門において企画・立案・調査・分析の業務を行う一定範囲のホワイトカラー労働者を適用対象とする制度です。

例えば、企画部や広報部などで企画立案を行っている方が該当します。

また営業部でも、営業方針などの計画を立てる立場にある人は該当します。

企画業務型裁量労働制の悪用方法

企画業務型裁量労働制は、企業の中枢部門で働く人たちに適用されるものです。

一般の営業職などでは、適用できない制度なのですね。

しかしブラック企業では、権限のない営業職にもこの裁量労働制を適用することがあります。

みなし労働時間を超えた仕事量を与え、実質的に残業代なしでこき使っているのですね。

これは、名ばかり管理職で仕事をさせられて、残業代が出ない問題とおなじ構図になります。

ほとんど権限がないのに、無理やり権限のある役職を与えられている方はいませんか。

そんなブラック企業からは一刻も早く脱出しましょう。

ブラック企業に未来はないので、会社を辞めて転職することをおすすめします。

うつ病などの病気になる前に、脱出してくださいね。

裁量労働制でも残業代や手当は出ます

裁量労働制だからといって、まったく残業代や手当が出ないというわけではありません。

例えば、休日出勤をした場合は、休日出勤手当の支給が別途必要になります。

また深夜に勤務をした場合は、深夜勤務手当の支給が別途必要になります。

裁量労働制は、あくまで労働時間を一定時間とみなす制度であるだけです。

もし休日手当や深夜勤務手当が支給されないときは、完全に騙されているので注意が必要です。

裁量労働制の会社に就職・転職するのは避けましょう

そもそも、裁量労働制のシステムを導入している会社に就職・転職することは、避けたほうが無難です。

もちろんすべての裁量労働制を導入している会社が、ブラック企業というわけではありません。

しかし世の中には制度を悪用するブラック企業がたくさんあります。

この裁量労働制を悪用している、ブラック企業もたくさんあるのですね。

世の中に求人募集をしている会社はたくさんあります。

あえてブラック企業の可能性が高い会社に、自分から飛び込んでいくのはかなりリスクが高いです。

しっかりと転職エージェントなどと相談をしながら、会社選びをしたほうがいいでしょうね。

もし裁量労働制の会社を選ぶときは、しっかりとブラック企業ではないかどうかを調べてください。

就職・転職するなら、ホワイト企業で前向きに仕事をしたいですからね。

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