心身の不調で休職した場合、元の職場に復帰するのはなかなかきついものです。
その心身の不調の原因が、そもそも会社にあることが多いですからね。
では休職中に転職活動をしてしまうという方法もありますが、これはダメなことなのでしょうか。
違法なのでしょうか。それとも道義的に問題があるだけなのでしょうか。
休職中の転職活動は罪に問われる?
- 休職中の転職活動は違法ではない
- しかし就業規則に注意する必要があり
- いったん復帰してから転職する方法もあり
休職中の転職活動は違法ではない
まず大前提として、休職中に転職活動をすること自体は違法ではありません。
確かに道義的・倫理的にはそれほどお勧めできるものではないかもしれません。
しかし違法ではないので、休職中に転職活動をしても罪に問われることはありません。
この点については、しっかりと忘れないようにしましょう。
ただ休職中の転職活動は、職場へうしろめたさを感じてしまうのも事実です。
そんな時は、なぜ休職することになったのかの原因を振り返って考えてみるといいのではないでしょうか。
- 心身の不調の原因が会社にある場合、道義的責任を感じる必要はない
- 退職・転職は労働者の権利である
心身の不調の原因が会社にある場合
休職の理由として最も多いのが、「心身の不調」ですよね。
簡単に言えば、多すぎる残業による過労やパワハラなどのストレスからくる「体調不良」や「うつ病」の発症などがあるでしょう。
その心身の不調の原因が会社にある場合、休職中に転職活動をすることは仕方のないことといえるではないでしょうか。
「心身の不調」は、会社の環境や体質によって引き起こされることが多いです。
もし職場復帰したとしても、また同じことの繰り返しとなってしまうパターンがとても多いのが現実です。
特に昨今問題になっているブラック企業で働いている場合は、転職せざるを得ないこともあります。
退職・転職は労働者の権利
「心身の不調」が会社にある場合、うしろめたさや道義的な責任を感じる必要はないと私は考えています。
会社と労働者は本来なら五分五分の対等な関係であるべきです。
もし対等な関係でないのなら、会社を辞めて転職することは労働者の当然の権利になります。
在職中に転職活動をすることは珍しくありません。
それならば休職中に転職活動をしても、特に問題はないでしょう。
そもそも休職中の転職は違法ではないので、道義的責任を感じることなく転職活動をすればいいのではないでしょうか。
就業規則に注意する必要があり
ただ、会社の就業規則には注意をしておく必要があります。
具体的には、会社の就業規則に休職中の転職活動を禁止する規定があった場合は注意が必要となります。
厳密にいえば、労働者には憲法で認められている職業選択の自由があり、退職の自由があります。
もし就業規則に「転職活動の禁止」が定められていても、その規則は無効です。
しかし会社側は、就業規則を盾に取り懲戒処分を科してくるかもしれません。
そうなるとそれを撤回させるには、労働基準監督署に相談したりといろいろ面倒な手続きが必要となってしまいます。
膨大な時間と手間が浪費させられてしまうのですね。
こんなことにならないように、会社の就業規則に休職中の転職活動を禁止する規定があるときは細心の注意が必要となります。
絶対に会社にバレないように転職活動をする必要があるということですね。
休職中の転職活動は違法ではなく問題ありませんが、波風をできるだけ立てないように会社にバレないように行いましょう。
いったん会社に復帰してから転職する方法もあり
休職中に転職を決めてしまうのではなく、いったん元の会社に復帰してから転職を決めるという方法もあります。
まずは休職中の転職活動のメリットとデメリットを見ていきましょう。
- 休職中の転職活動のメリットは時間的余裕があること
- 休職中の転職活動のデメリットは源泉徴収票の問題
- 転職を前提に職場復帰すると気持ちが楽になることも
休職中の転職活動のメリットとデメリット
休職中の転職活動のメリット
休職中に転職活動をすることのメリットは、時間が自由になるということですよね。
在職中の転職活動は、仕事をしながらなの活動になるので、どうしても時間が自由に取れません。
休職中だと、平日に面接することも何ら問題ありません。
このように時間的余裕があるということが、大きなメリットになるのですね。
休職中の転職活動のデメリット
しかし休職中に転職活動をするデメリットもあります。
それは源泉徴収票の問題です。
転職をすると、転職先には元の会社の「源泉徴収票」を提出する必要があります。
「源泉徴収票の何が問題なの?」と思う方もいるかもしれませんが、この源泉徴収票により自分が休職していたことがばれてしまう可能性があるのです。
休職中は傷病手当金や労災の休業給付が支給されており、会社から給与が支給されているわけではありません。
ということは、源泉徴収票を見ると休業期間の給与が「0円」であることがわかるということです。
もし休職していることを隠して内定をもらっていたとしたら、転職先に嘘をついていたことがばれてしまうということになるのです。
もちろん休職していることを、きちんと説明したうえで内定をもらっていたなら問題はありません。
しかし現実には、休職中であることを素直に説明している方は少ないのではないでしょうか。
そのようなときは、この源泉徴収票が休職中の転職活動のデメリットになってしまうのですね。
いったん職場復帰すれば源泉徴収票がクリアできることも
この源泉徴収票の問題ですが、いったん職場復帰をしてから転職することでクリアにすることが可能です。
転職先に提出する源泉徴収票は、転職したその年のものが必要となります。
例えば2017年10月に退職・転職したら2017年のものが、2018年2月に退職・転職したら2018年のものが必要になるのです。
ということは、2017年12月に復帰して2018年3月に退社・転職したならば、休職していたことが転職先にはわからないということになりますね。
このように、時期を合わせていったん職場復帰すれば源泉徴収票がクリアになるということ覚えておきましょう。
転職を前提に職場復帰するときが楽になることも
休職中には本格的な転職活動をせずに、職場復帰してから本格的に転職活動をするという方法もあります。
休職中に転職サイトで求人をいろいろと調査しておき、職場復帰してから本格的に応募・面接を開始するのですね。
「もうこの会社を辞めるつもりだ」と決意してしまえば、上司のパワハラや残業の多さも乗り越えられるものです。
そしてそのような決意のもと、働きながら在職中に転職活動をすればいいのです。
休職中の方は、どうしても復帰か退職(転職)かの2者択一の考えになりがちです。
休職中は何らかの心身の不調があるので、時間はあるけども体力面・精神面で疲労が大きいケースも多いです。
まずは心身を元に戻し、職場復帰してから転職をするという方法もあるということを選択肢に入れておいてください。
辞める前提での職場復帰なら、意外と精神的に楽になるので考えてみる価値はあるのではないでしょうか。